JSCFとして2023年度よく参画している市民団体「消費から持続可能な社会をつくる市民ネット―ワーク(SSRC)」では、今年度の「企業のエシカル通信簿」の調査結果を発表する結果発表会を2024年3月18日(月)に開催しました。JSCFでは、生物多様性部門で通信簿プロジェクトに参加したり、団体のPRを担当しています。
企業のエシカル通信簿とは、環境・人権・アニマルウェルフェアなどの7分野について、企業がエシカルな方法で事業を行っているかどうかを調査し、その結果を10段階の「成績」として発表する通信簿形式。今年度は、人権・労働問題が取り出されるようになったラナ・プラザ悲劇から10年の節目を受け、アパレル大手10社を調査しました。この通信簿の目的は、消費者が正しい目で正しくエシカルな商品を選定・使用すること。調査項目はかなり専門的ですが、これにより企業もどこを目指せばよいのかがわかります。

イベントは、対面と会場からのオンライン配信のハイブリッドで開催。参加者も100人を超え、会場でも一方的な報告だけでなく、活発な議論がなされ盛り上がりました。
発表内容は、過去にアパレル5社を調査したものと比較して、近年情報開示が進み、各社興味深い先行事例が出てきているのが特徴。化粧品同様、サプライチェーンが多岐にわたり、調達や製造まで海外が多いアパレル業界では、ラナ・プラザの一件をうけて、人権・労働問題関連は伸長しています。ただ、最近国内でも人権についての規制はできはじめていても、まだガイドラインどまりで強制力にはかけています。
そのほか、ESGでいえば、EやGについては各社積極的に取り組むも、当社注目の生物多様性においてはなかなか先進的取り組みが見られない実態もあります。また、このところ国内ではアニマルウェルフェアの考え方が広がってきており、その部分でいえば、方針を出している企業は少ないのが特徴的です。この分野は、産業においては、まだまだ持続可能性をさぐりにくいポイントかもしれません。

エシカルには様々な視点があり、価値観も多様です。結果を見ていくと、業界だけでなく、日本ならではの特徴も見られ、興味深い内容です。
結果発表の詳細は、後日SSRCのHPにアップされますので、是非ご覧ください。

3024/3/18 Mon. 聖心女子大学・グローバルプラザにて開催された「企業のエシカル通信簿(2023年度)」発表会。SSRC参加メンバーと。(右上)JSCF代表・長井