昨日、外務省の「SDGs実施指針に関するパートナーシップ会議」(第2回)に参加した。ちょうど昨日は国連Day(1945年10月24日に国連が発足した)で、数々の有識者が参加していた。筆者は今回からの参加なので、その内容は前回の方針をレビューするものが中心だった。僭越ながら、参加した分科会にて、産業との絡みにはサステナブルなサプライチェーンは欠かせないので、生物多様性に配慮した原料調達をはじめとする12の具体化などについて提言させていただいた。
内容は今後政府から発表があると思うので、こちらでは昨日の参加を受けて私的な感想を述べたいと思う。
日本のSDGs認知度は、以前紹介したとおり34%程度の認知度で、世界のSDGs達成ランキングからしても低いのは稀である。外部の公表された調査では、認知度が86%と大きな話題となっていたが、そのうちの半数が「名前だけは聞いたことがある」というだけのもので、本来の認知度とは大きく違う。また、日本では「SDGs=環境」の認識が強いと言え、環境・社会課題意識そのものよりも、言葉の認知度のほうが高い。これは同会議でも改めて共有されていた。これにはおそらく、以前メディアが連合でおこなっていた「-1.5℃の約束」が契機となっており、それ自体は良いキャンペーン内容だったが、個々で見ると表面的な理解だったり、事例紹介だけで約束された内容が普及されたかなどではないかと分析する。すでにSDGsに沿った施策を実行している企業にとってはあえてSDGsをアピールしない企業もいくつかあったり、SDGsが2030年までの目標になるので一過性ものもと捉えていても、国連のイベントに参加すると、やはりSDGsの言及は多く、SDGsだけに限らず気候変動対策に関して具体的な実施指針は重要な視点だと感じる。
化粧品業界をはじめ、新型コロナの影響を大いに受けた業界にとっては、グリーンエコノミーがコロナからの復興として持続可能な発展の道筋へ進む機会になるだろうと分析されているが、グローバル課題を意識しながら、業界にふさわしい課題解決が必要だと考える。この実施指針をもとに、業界として方針を考えていくことが重要だ。そして、業界・消費者ともに正しい理解を促進することにつきる。
筆者自身も「産業と環境」の視点が強いが、産業で達成するSDGsも考えなくてはならない。昨日提言もしたが、特に関係する12では、ターゲットの内容がわかりにくく(具体性が低い)、業界・企業に落とし込むことがなかなかしずらい。そのため、自分事にならず業界によっては達成できていないのだろう。化粧品では特にそういった現状がある。12から読み解けることとして「産業と環境」の視点でいえば、原料や製品そのものを海外にたよることから、やはり原産国での正確な環境・社会状況の把握が必要である。実施方針でも明確な記述を求める。また、”SDGsは大企業だけのもの”にならないような内容にしなければならない。
業界の明確な方向性としては、最初の協議会でも化粧品のSDGs という議題について協議した。外国産ブランドについては現地で達成しているSDGsは、そのまま日本でもアピールすることができる。化粧品業界では基本12なのだが、そのほかに具体的に環境・社会的課題を解決しているゴールがあればアピールできる。(特に業界ではウォッシュがまだ多いので、アピールする場合はよく注意が必要。)日本原産のブランドでも、各ターゲットからあてはまるものを正しくアピールすることが必要だ。
文:長井美有紀