JSCFで初となる一般を対象にした教育イベントが、2022年7月10日に開催されました。プラスチック問題への関心が高まる中で、その本質について改めて理解しながら、プラスチック製品にかわる素材の可能性を探るものです。

イベントでは、まずプラスチック問題の起源や解決のためにはどうするか、SDGsの新しい考え方(ウェディングケーキモデル)についてなど、当団体代表の長井より紹介されました。プラスチック問題のSDGsは「14」ですが、ターゲットにも詳細は掲載されていません。海の生態系を守るという点で、ターゲットの14.1が暗にそれを示していますので、解決をしなければいけない一つの課題といえます。

また、プラスチックといえば「容器」だけでなく、化粧品ならではの成分中のプラスチック原料についても言及され、様々な視点の理解が必要だと説かれました。

そこでサステナブル素材の追求が急務ということで、北陸先端大准教授 山本先生を招き、「脱石油時代のサステナブル材料設計」についてお話いただきました。石油にかわる新素材として「ミツロウ」が注目されており、その素材についてや抗菌性などの機能性などが紹介され、ミツロウが世界で唯一の“捨てない”(=使い捨てでない)素材でないことが言及されました(山本裕子、「脱石油時代のサステナブル材料設計」、一般社団法人日本サステナブル化粧品振興機構主催ミツロウワークショップイベント、東京、2022年7月10日)。これを食品用ラップにしたのが、イベントでも紹介されたwithHoneyの「みつろうらっぷ」です。一部のエシカル消費者の間でプラスチック製食品用ラップより、いまこのミツロウラップが注目されています。みつろうらっぷは、使い捨てではなく、洗って何度も使用することができます(おおよそ1年くらい)。

withHoneyのみつろうらっぷ

イベントではこのあと、withHoneyのミツロウ素材をつかったみつろうらっぷのワークショップ体験を実施。生地に好きな絵を書くなどしてオリジナルの模様をつけ、ミツロウを塗り込み、乾いたらそれで野菜をまいてお持ち帰り。

ゲストは小学生から一般の方まで幅広い参加となり、プラスチック問題やSDGsに関する正しい知識を得ていただき、ミツロウラップ制作で環境問題に関する新しい視点がご提供できたと感じています。
また、ミツロウを石油にかわる新しいパッケージ素材としても期待できそうです。化粧品にすべてハマるとは限らないですが、外箱をこのミツロウ素材のパッケージにかえるなどすれば、廃棄物ではなく2次利用がしやすくなるので、表面的なパッケージソリューションでない根本的な解決になる手段として、業界でも検討していけたらと考えています。

今回の教育イベントを通じて改めて感じるのが、やはりSDGsというワードが独り歩きしていること、また生活者が環境課題に対して具体的なアクションがわからないことなどがあります。欧米ではすでに定着していますが、日本でも表面的な理解ではなく、問題の根本を正しく理解して本来だとアクションを個人が考えられるのが理想です。JSCFでは、これから生活者への教育や啓蒙も重要な要素だととらえ、活動をしていきたいと考えます。

サステナビリティ・SDGsなどの一般概要を学んで化粧品にも応用できる★