クリーンビューティーの次の一手
――2026年以降、日本市場で問われる「実装力」<週刊粧業コラムVol.l28のつづき>
2025年、日本市場におけるクリーンビューティーは転換点を迎えた。ベアミネラルやドランクエレファントの日本撤退は、クリーンという概念の終焉を示すものではない。むしろそれは、クリーンビューティーが“語られる段階”から“実装される段階”へ移行したサインと捉えるべきだ。
では、2026年以降、日本のクリーンビューティーはどこへ向かうのか。生き残り、成長するためには、大きく二つに分かれると予想される。
第一に、「クリーンである理由」を明確に語れるブランドだけが残るということ。
これまでのように「無添加」「自然由来」「サステナブル」といった言葉を並べるだけでは、消費者の信頼は得られない。なぜその成分なのか、なぜその製造方法なのか、それが生活者や社会にとってどんな意味を持つのか。ガバナンスとしてしっかりアピールすることが重要になる。つまり、クリーンを思想として説明できるブランドであるかどうかが、選別の基準になる。これにはやはりエビデンスの提示が必要になる。
第二に、日本市場特有の生活者実感との適合が不可欠になる。
日本の消費者は、化粧品に限らず、欧米のように強い思想や運動性を前面に出すブランドよりも、いまだ日常に無理なく組み込める安心感を重視する傾向が強い。価格、使用感、入手のしやすさ、継続性など。これらを犠牲にしたクリーンは、支持を得にくい。(これらは日本のサステナビリティ全体にかかる課題であるのだが。)今後は、クリーンであることと、使い続けられることを両立できる設計力が問われる。企業としては難しい選択となる場合があるが、その分を投資と考えれば、企業価値を高めることにもつながる。
近年の日本では、ほとんどサステナビリティがマーケティングの文脈で捉えられてしまうが、これをとっぱらい、抜本的な”クリーンビューティー化”を施行する必要がある。これを「クリーンビューティー2.0」と呼んでいる。
これらの流れの中で、日本発ブランドにはむしろチャンスがある。原料調達の透明性、品質管理、生活文化との親和性といった強みを、クリーンビューティーの文脈で再定義できれば、輸入ブランドとは異なる価値軸を提示できる。
2025年は、理念が試され、実行力が問われ始めた年だった。これからの市場で必要なのは、新しい言葉ではなく、ワードを裏切らない設計と企業行動である。クリーンビューティーの次の主役は、それを静かに、かつ確実に積み上げられるブランドになるだろう。