代表・長井の2025年度学術研究②として、「海から化粧台へ:ブルーカーボン生態系原料がサステナブルビューティーの認識と購買意欲に与える影響」が本日、昭和女子大学現代ビジネス研究所HPにて公開になりました。(紀要としても後日デポジトリ登録されます)
■From Ocean to Vanity:Blue Carbon Ecosystem and Sustainable Beauty Perceptions
(海から化粧台へ:ブルーカーボンとサステナブルビューティーの認識と購買意欲が与える影響)
<昭和女子大学・研究ノート> 2025年度紀要掲載
ブルーカーボンとクリーンビューティー
― 海洋資源と消費者認識をめぐる予備的知見 ―
(昭和女子大学現代ビジネス研究所 2025年度紀要<研究ノート>に基づく概要)
1.本資料の位置づけ
本資料は、ブルーカーボン生態系に由来する海洋資源とクリーンビューティーの接点を、消費者認識および市場形成の観点から検討した予備的研究である。
気候変動対策として注目されるブルーカーボンは、政策・産業領域では議論が進みつつある一方、消費者市場、とりわけ化粧品分野における位置づけは未確立である。本研究は、このギャップに着目し、環境価値がどのように消費者価値へと転換されるかを探索的に分析するものである。
2.背景と問題意識
近年、クリーンビューティーは単なる「自然由来」志向から、環境・社会との共生を含む概念へと拡張している。一方で、海洋生態系の保全やブルーカーボンといった要素は、ブランド価値として十分に統合されていない。
特に以下の課題が存在する:
- ブルーカーボンの消費者認知の低さ
- 海洋由来原料の環境価値と購買行動の接続不足
- 表示・認証の不統一による信頼性の不確実性
これらは、技術や資源の問題ではなく、市場・制度・コミュニケーションの問題として捉えられる。
3.主な知見(概念的整理)
本研究からは、以下の示唆が得られた:
- 認知と理解の乖離
ブルーカーボン自体の認知は限定的であるが、適切な説明により環境価値としての理解は比較的容易に形成される。 - パッケージ・表示の役割
海洋イメージや「環境配慮」表示は、消費者にとって重要な判断手がかりとして機能する。 - 信頼性の重要性
環境ラベルや説明の透明性が、評価および購買意向を大きく左右する。 - クリーンビューティーとの接続可能性
ブルーカーボンは、適切な設計によりクリーンビューティーの価値拡張要素となり得る。
4.示唆と今後の方向性
本研究は、ブルーカーボンを活用した化粧品の発展には、以下の要素が不可欠であることを示唆する:
- 環境価値の可視化と翻訳(コミュニケーション設計)
- 第三者認証等による信頼性の担保
- 原料・環境影響に関する標準化・制度化
すなわち、今後の展開は技術革新だけでなく、ガバナンスの構築(制度・認証・情報開示)に依存する。
5.本研究の意義
本研究は、これまで分断されていた以下の領域を接続する点に意義がある:
- 海洋環境(ブルーカーボン)
- 化粧品産業(クリーンビューティー)
- 消費者行動(認識・信頼・購買)
これにより、サステナブルビューティーを「環境配慮」から「環境ガバナンス」へと再定義する基盤を提示する。
本文はこちらよりご覧いただけます(英語)。
また、本研究を総括した研究発表も予定しています。是非ご期待ください。
◆同日公開のクリーンビューティーx生物多様性の論文はこちら