コラム連載を行なっている業界誌『週刊粧業』で、先月大々的にアンケート調査が行われた。消費者に向けた化粧品や日用品の生活シーン別の製品使用実態に関するアンケートで、非常に興味深い(『週刊粧業』2024年7月1日号)。アンケートの内容から、大まかにコロナ禍前後でのニーズの変化が起因しているように思える。化粧品や日用品業界は、良くも悪くもコロナで一変した。
化粧品や日用品大手企業の戦略も紹介されているのだが、1番に気になったのは、原料メーカーや容器メーカーなどのサプライヤー企業によるサステナビリティ戦略である。企業からの求める声もあるのだろうが、それ以前にサプライヤー企業自身のサステナビリティに関する取り組みが目覚ましい。それらは脱炭素や省エネ、節水に関する技術やアイデアである。環境に配慮しつつ、機能性を重視するという技術革新も進む。
業界の大体がサプライヤー任せであるため、企業(=いわゆる製販メーカー)の方針に合っているからということより、製品ありきの市場構造があるため、企業がその内容をうまくアピールできず、表面的な施策しか述べられていない現状がある。これを打破するには,企業の知識の底上げと戦略的グリーンマーケティングの実行が必要になる。
近年ではウォッシュ回避の目的で、スムーズに”グリーン”を伝えることが難しくなった。前回の学会発表でも述べたが、大企業になればなるほど、どこもウォッシュ指摘を懸念している。さらに、以前から述べているEUの新規制(グリーンウォッシュ規制法)も拍車をかける。企業はサプライヤーから正しい情報を吸い上げ、企業の方針に沿った上で、それらを丁寧に消費者に伝える必要がある。
著:長井美有紀